※情報は随時更新します(更新日:2025/9/17)
起源と歴史
宮島細工は江戸時代の終わりごろ、お坊さんの誓真(せいしん)が「琵琶の形」をヒントに杓子(しゃもじ)を考え、島の人に作り方を教えたのが始まりです。その後、ろくろの技術や彫刻の技法が伝わり、丸盆や茶托、宮島彫といった多彩な木工品が作られるようになりました。宮島のまわりには木が豊富にあり、近くの廿日市は木材の集積地だったため、材料を手に入れやすく工芸が盛んに育ちました。そして1982年に「伝統的工芸品」として国から認められ、今も職人の技が受け継がれています。
特徴
- 素材: 桑、欅(けやき)、栃(とち)、桜など、木目の美しい広葉樹が主に使われます。
- 仕上げ: 木材本来の風合いや木目を最大限に生かす「木地仕上げ」が特徴です。これにより、自然で温かみのある手触りが生まれます。
- 技法: 木取り(木材の選定と切り出し)から始まり、木地づくり(ろくろや彫刻による成形)、表面を滑らかにする磨き、そして加飾(宮島彫りや漆拭きなど)を経て完成します。
- 表現: 彫刻では「浮かし彫り」「沈め彫り」「筋彫り」といった複数の技法を組み合わせています。これは、木地の風合いを生かすために浅く彫り込み、その部分に墨や漆を擦り込むことで、草花や風景の文様を美しく浮かび上がらせる技法です。
主な工芸品
しゃもじ(杓子)
- 由来:寛政年間(18世紀末)、僧・誓真が弁財天の琵琶の形をヒントに考案。
- 意味:幸運を招く縁起物として参拝土産に人気。
- 実用性:木の香りがご飯に移らず、飯粒がつきにくい。今も宮島を代表する工芸品。
ロクロ細工(挽き物)
- 歴史:嘉永年間(19世紀中頃)、小田権六によって伝わる。
- 製品:丸盆、茶托、菓子器、重弁当など。
- 魅力:木目や色合いを活かした温かみのある日用品。
宮島彫
- 起源:江戸後期、甲州(現・山梨)の職人が伝えた技術。
- 作品:盆、菓子器、衝立などに写実的な彫刻を施す。
- 特徴:年月を経て木目と彫刻が深みを増し、趣ある工芸品に。
宮島細工の魅力
- 木の温もりと手触り
宮島細工は、桑、欅(けやき)、桜などの広葉樹の木目や色合い、そしてなめらかな手触りを大切にします。表面を過度に加工せず、「木地仕上げ」を基本とすることで、木本来の温かみや柔らかな風合いを肌で感じることができます。 - 実用性と芸術性の融合
杓子(しゃもじ)やろくろ細工のお盆、茶托など、宮島細工はもともと日常で使うための道具として生まれました。しかし、そこに職人の卓越した技術が加わることで、単なる日用品を超えた芸術的な美しさを備えています。特に、木目を活かした「宮島彫」の文様は、彫刻と木地のコントラストが美しく、使うたびにその奥深さを感じさせます。 - 幸運を招く縁起物
宮島細工の代表的な製品である杓子は、「幸運を召し取る」や「福をすくいとる」という縁起の良い意味合いを持つことから、古くからお土産や縁起物として親しまれてきました。この物語性も、多くの人々を惹きつける大きな魅力の一つです。

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