日本六古窯(にほんろっこよう)

※情報は随時更新します(更新日:2026/1/25)

日本六古窯とは、古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続いている代表的な6つの窯の総称です。

命名者: 昭和23年(1948年)頃、古陶磁研究家の小山冨士夫氏により命名されました。

認定: 平成29年(2017年)に「日本遺産」に認定されています。

共通点: いずれも平安・鎌倉時代から数千年の歴史を持ち、時代の変化に合わせて形を変えながら、日本の生活文化を支え続けてきました。

備前焼(びぜんやき)|岡山県備前市

成立

備前焼は平安時代中期(10〜11世紀頃)に成立。
岡山県備前市伊部を中心に、須恵器の流れをくむ窯場として発展。
甕(かめ)・壺・水器などの
無釉の実用陶
から始まった。

須恵器(すえき)
一言で言えば、「その後の日本独自のやきもの(六古窯)へと発展していくための、最も重要な基礎技術を確立したやきもの」

瀬戸焼・常滑焼のルーツ: 5世紀後半に須恵器を生産していた「猿投窯(さなげよう)」が、瀬戸焼や常滑焼の直接的な起源とされています。

備前焼の伝統継承: 備前焼は、須恵器から続く「釉薬(うわぐすり)をかけずに高温で焼き締める」という原始的かつ本質的な技法を、現代まで最も純粋に守り続けている産地です。

変遷

鎌倉〜室町期に大産地となり、全国へ流通。
桃山期には茶の湯文化と結びつき、美術的評価が高まる。
近代には民藝運動・現代陶芸の流れで再評価。

現状

現在も伊部地区を中心に多くの陶工が活動。
伝統的焼成を守りつつ、茶陶・食器・造形作品まで制作。
日本を代表する無釉焼締の産地として国内外に知られる。

工芸品の特徴

釉薬を一切使わない焼締陶。
薪窯による胡麻・緋襷・桟切などの自然景色。
硬く締まり、土と炎だけで表情を生むのが最大の魅力。

越前焼(えちぜんやき)|福井県越前町

成立

越前焼は平安時代末期(約12世紀)に成立し、福井県越前町を中心に発展した。
甕・壺・すり鉢などの
日常雑器
を生産する窯場として始まった。
中世には北陸最大級の窯業地となる。

変遷

中世には日本海航路を通じて全国に流通。
明治期に一時衰退するが、戦後に小山冨士夫らの調査で六古窯として再評価・復興
現在は伝統技法を基盤に現代陶芸へも展開

現状

1986年に国の伝統的工芸品に指定。
越前陶芸村を拠点に、多くの陶工が活動。
実用陶と現代的作品の両立する産地となっている。

工芸品の特徴

無釉焼締を基本とし、薪灰による自然釉が景色を生む。
鉄分を含む土で、堅牢・厚手・実用本位の造形。
大甕に適した輪積み成形技法が今も継承されている。

常滑焼(とこなめやき)|愛知県

成立

常滑焼は平安時代末期(12世紀頃)に成立。
知多半島で採れる鉄分の多い土を用い、壺・甕を中心とする実用陶として発展。
中世には六古窯
最大規模の産地
となった。

変遷

鎌倉〜室町期に大型壺・甕を大量生産し、海運で全国へ流通
江戸後期以降は土管・朱泥茶器などへ展開。
近代には建材・衛生陶器・急須などへ分野を拡大。

現状

現在は朱泥急須と招き猫の一大産地として知られる。
伝統の焼締技法を基盤に、日用品から造形作品まで制作。
歴史的窯跡とともに、観光・産業の両面で継続している。

工芸品の特徴

鉄分を含む土による赤褐色の焼締が基調。
大型品に適した輪積み成形(ヨリコ造り)の系譜。
堅牢・実用本位で、使い込むほど風合いが増す。

瀬戸焼(せとやき)|愛知県瀬戸市

成立

瀬戸焼は平安時代末期(12世紀頃)に成立。
猿投窯の系譜を引き、日本で唯一、中世から施釉陶器を本格的に生産した産地。
良質で鉄分の少ない土により、白い素地の器が可能となった。

変遷

鎌倉〜室町期に壺・碗・皿など多様な器種を全国へ供給。
桃山期には茶の湯文化と結びつき、美濃焼へも影響。
近代以降は磁器・輸出陶磁・工業製品へと展開。

現状

現在も和洋食器、ノベルティ、建築陶材、工業用セラミックスまで幅広く生産。
「せともの」の語源となるほど、日本陶磁の基盤を形成。
伝統技法と工業技術が共存する総合陶業地

工芸品の特徴

施釉技術の発達(灰釉・鉄釉・染付)が最大の特徴。
均整のとれたロクロ成形と、再現性の高い焼成。
実用性と装飾性を兼ね備えた、日本陶磁の技術中枢

丹波焼(たんばやき)|兵庫県丹波篠山市

成立

丹波焼は平安時代末期〜鎌倉時代初期に成立。
兵庫県丹波篠山市立杭を中心に、甕・壺・すり鉢などの実用雑器を生産。
山間の窯場で、暮らしの器として発展した。

変遷

中世〜江戸期に日用陶器として京・大坂・江戸へ流通。
登窯・釉薬・蹴りろくろの導入で表現と器種が拡大
近代には民藝運動により造形美が再評価

現状

現在も約60の窯元が集まる連続した窯業集落
伝統的な日用器から現代的作品まで制作。
暮らしに根ざした焼物として継続的に発展

工芸品の特徴

焼締を基調に、自然灰釉・灰釉・黒釉など多彩。
日本では珍しい左回転の蹴りろくろ
造形の整いと、実用性と美のバランスが高い。

信楽焼(しがらきやき)|滋賀県甲賀市

成立

信楽焼は鎌倉時代(13世紀頃)に成立。
常滑の影響を受けつつ、滋賀県甲賀市信楽を中心に開窯。
甕・壺・すり鉢などの実用雑器
から始まった。

変遷

室町〜桃山期に茶の湯文化と結びつき評価が上昇。
江戸期は日用雑器を中心に継続。
近代以降は現代陶芸・造形分野へも展開。

現状

現在は日用品・建材から芸術陶まで幅広く制作。
伝統技法を継承する作家と、現代的表現の作家が共存。
「たぬき」だけでない土の産地として再評価されている。

工芸品の特徴

長石を含む粗い土による火色・石はぜの表情。
無釉焼締を基本とし、灰被りが自然釉(ビードロ)となる。
炎がつくる
偶然性の高い景色
が最大の魅力。

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