※情報は随時更新します(更新日:2025/10/2)
起源と歴史
- はじまり(江戸時代)
- 山間で耕地が少ない熊野では、農閑期に現在の奈良県や和歌山県へ出稼ぎし、帰路に筆や墨を仕入れて行商したことから熊野と筆の結びつきが生まれました。
- その後、熊野の住民が広島藩の御用筆司に弟子入りして筆作りの技術を本格的に学び、村に戻って村民にその技法を伝えたことで、熊野に筆産業が根付きました。
- 戦後の展開
- 書筆の技術を応用して画筆と化粧筆の量産が進み、熊野の基幹産業になりました。
特徴
熊野筆の最大の特徴は、すべての工程が職人の手作業と高度な分業制によって行われている点です。一本の筆を作るために、以下の専門的な工程があります。
- 選毛(せんもう):筆の種類や用途に合わせて、最適な獣毛を選別する。
- 毛組み(けぐみ):選んだ毛を混ぜ合わせ、筆の穂先の形と墨含みを決める。
- 寸切り(すんぎり):穂先から根元までの毛を、それぞれの長さに切り分ける。
これらの工程は、それぞれの職人が長年の経験と勘を頼りに進めます。
また、穂先の毛を切り揃えず、「コマ」という木型を使用し穂先を出します。自然毛を生かすことにより毛先が繊細で、適度なコシも持ち合わせた筆となります。
原材料:ヤギ、イタチ(コリンスキー等)、タヌキ、ウマ、シカ、ネコなどの獣毛を用途別にブレンド。
主な工芸品
- 毛筆(書筆):書道用の筆。伝統的な熊野筆の中心です。
- 画筆:日本画や油絵、水彩画など、絵画用の筆。
- 化粧筆:ファンデーションブラシ、チークブラシ、アイシャドウブラシなど、化粧用の筆。
熊野筆の魅力
- 多くの筆は、一人の職人が最初から最後まで手がけることがありますが、熊野筆は違います。「穂首(穂先)づくり」と「軸づくり」が完全に分業されており、さらに穂首づくりの中でも、「毛を選別する人」「毛を組み合わせる人」「穂先を整える人」など、各工程に熟練した専門の職人がいます。この高度な分業制と、すべての工程が手作業で行われることが、他の産地にはない大きな特徴です。
- 熊野筆は、ヤギ、リス、イタチ、馬など約100種類もの獣毛を使い分けます。それぞれの毛が持つ特性を熟知した職人が、筆の種類や用途に合わせて最適な毛を選び、配合します。特に、墨や絵の具の含みを良くするための「練り混ぜ」や、毛の油分を抜く「毛もみ」といった熊野独自の伝統的な製法が、最高品質の筆を生み出します。
- 伝統的な書道筆はもちろん、熊野筆は画筆や化粧筆でも世界的に有名です。特に化粧筆は、その肌触りの良さと耐久性から、国内外のプロのメイクアップアーティストに愛用されています。


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