※情報は随時更新します(更新日:2025/10/29)
起源と歴史
大堀相馬焼は、福島県双葉郡浪江町大堀地区で生まれた陶磁器で、江戸時代初期(1690年頃)に始まったと伝えられています。
相馬藩の保護政策によって窯業は発展し、江戸末期には東北最大の陶産地となりました。
庶民の日用品として親しまれた一方、藩主への献上品としても重宝され、広く流通しました。
明治の廃藩置県によって保護がなくなり、一時衰退しますが、職人たちは新技法を模索し続けます。
明治末期、陶工・坂本熊次郎が考案した「二重焼き(二重構造)」の技術は、現在の大堀相馬焼を象徴する独自の様式として定着しました。
2011年の東日本大震災と原発事故により、大堀地区は避難区域となり産地は壊滅的被害を受けます。
それでも職人たちは活動を止めず、二本松市などで制作を再開。2021年には浪江町内に新たな拠点「なみえの技・なりわい館」が開設されました。
特徴
- 走り駒(はしりこま)
旧相馬藩の「御神馬(ごしんめ)」を描いた絵柄で、狩野派の筆法によるものです。
駆ける馬は「力強さ」や「勝運」「幸福」の象徴とされ、縁起の良い模様として親しまれています。 - 青ひび(あおひび)
青磁釉(せいじゆう)によって器の表面に現れる繊細なひび模様で、「貫入(かんにゅう)」と呼ばれます。
焼成時に土と釉薬の収縮率の違いから自然に生じ、器全体に網のような地模様を作ります。
仕上げには墨をすり込み、ひびを際立たせる「墨入れ」の工程を施すことで、深みのある美しい表情が生まれます。 - 二重焼き(にじゅうやき)
内側と外側の二重構造により、熱い飲み物を入れても外側が熱くならず、冷めにくいという実用性を備えた構造です。
この機能性と美しさを両立させた技法は、大堀相馬焼特有の発明として高く評価されています。
主な工芸品
- 茶碗・湯呑・急須
もっとも代表的な製品。二重焼き構造で保温性が高く、青ひびの模様が美しく映える。
- 徳利・酒器
走り駒の絵付けが施された酒器は贈答品として人気。
魅力
東北の風土に育まれた素朴な味わいと優しさがあります。青ひびの地模様が強い個性と親しみやすさを演出し、「走り駒」は武運長久や家内安全を祈念する縁起の良い図柄として親しまれています。また、「二重焼き」による優れた実用性も魅力の一つです。


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